Malignant Lymphoma

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫とは?

リンパ球が『がん化』して無制限に増殖し、リンパ節やリンパ組織にかたまりを作ってくる病気です。

悪性リンパ腫の原因

特殊なケース※1を除き、原因は不明です。従って効果的な予防法もわかっていないのが現状です。(2019年4月現在)
※1成人T細胞白血病リンパ腫のウィルス感染、胃MALTリンパ腫のヘリコバクター・ピロリ菌感染など

悪性リンパ腫の主な症状

がん化したリンパ腫は、リンパ節などで異常増殖し、さまざまな症状が現れるようになります。

リンパ節の腫れ

  • 足や脇の下、足のつけ根などのリンパ節の腫れ。(多くの場合痛みはありません)

風邪に似た自覚症状

  • 原因不明の38℃以上の熱
  • 半年間に体重が10%以上低下
  • からだのだるさ(倦怠感)
  • 寝汗

悪性リンパ腫の種類

大きく『ホジキンリンパ腫』と『非ホジキンリンパ腫』に分けられます。

ホジキンリンパ腫(約5〜10%)

  • 特徴的な『リード・シュテルンベルク細胞』あるいは『ホジキン細胞』が現れます。
  • 化学療法および放射線治療で治療しやすい種類です。 ※病気の広がりにより異なります。

非ホジキンリンパ腫(90%以上)

  • 多くの種類(60種類以上)に分けられますが、大きくは3つのタイプに分けられます。
  • タイプによって、病気の進む速さや治療法、治療の効きやすが異なります。

臨床結果からみた分類

ゆっくり進むタイプ 低悪性度 (年単位で進行) 濾胞性(ろほうせい)リンパ腫 MALT(マルト)リンパ腫など
速く進むタイプ 中悪性度 (月単位で進行) びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 マントル細胞リンパ腫 濾胞性(ろほうせい)リンパ腫など
直ちに治療が必要なタイプ 高悪性度 (週単位で進行) バーキットリンパ腫 成人T細胞白血病・リンパ腫など

それぞれの悪性リンパ腫の特徴

ホジキンリンパ腫

  • 全悪性リンパ腫の約5%※1
  • 首のリンパ節に病変を生じやすく、脾臓や縦隔のリンパ節に生じることもあります。
  • リンパ節が腫れる他、発熱や寝汗、体重減少などがみられることがあります。

※1 出典:岡山大学大学院 医歯薬学総合研究所より

ゆっくり進むタイプの悪性リンパ腫の特徴

濾胞性(ろほうせい)リンパ腫の特徴

  • 全悪性リンパ腫の約20%。※2
  • 多くの場合、リンパ腫は腫れるが他の症状は出にくい。
  • 骨髄に病変が見られることもある。
  • 近年、増加傾向にあるリンパ腫の1つ。

MALT(まると)リンパ腫の特徴

  • 全悪性リンパ腫の約15%。※1
  • ヘリコバクター・ピロリ菌による慢性胃炎や自己免疫疾患にかかった経験のある人が多い。
  • 胃などの消化管や肺、頭や首、目などさまざまな部位に生じるが、自覚症状は乏しい。

※2 出典:岡山大学大学院 医歯薬学総合研究所より

速く進むタイプの悪性リンパ腫の特徴

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の特徴

  • 全悪性リンパ腫の約37%。※1
  • リンパ腫をはじめ、全身の様々な臓器に病変を生じることがある。
  • リンパ節の顕微鏡像も人によってさまざま。

マントル細胞リンパ腫の特徴

  • 全悪性リンパ腫の約2%。※1
  • 全身のリンパ節が腫れるとともに、脾臓や骨髄、消化器に病変を生じることもある。

※1 出典:岡山大学大学院 医歯薬学総合研究所より

直ちに治療が必要なタイプの悪性リンパ腫の特徴

バーキットリンパ腫の特徴

  • 全悪性リンパ腫の約0.3%ですが、小児では非ホジキンリンパ腫の約19%。※1
  • 腹部のリンパ節から生じることが多い
  • 短期間で大きくなり、腹部膨満や呼吸困難が現れることがある。

リンパ芽球性リンパ腫の特徴

  • 全悪性リンパ腫の約2%、小児や若年成人に多く、小児の非ホジキンリンパ腫の約35%。※3
  • 横隔膜より上半身に生じやすく、咳や息切れなどが現れる。
  • 骨髄や中枢神経にも病変を生じやすい。

※3 出典:岡山大学大学院 医歯薬学総合研究所より

悪性リンパ腫の治療法

悪性リンパ腫のタイプや患者さんの状態、年齢などを総合的に考えながら治療を進めます。手術が必要になることはごくまれです。

薬物療法

  • 抗がん剤や抗体医薬などの薬を用いてがん細胞を殺す治療法です。
  • 悪性リンパ腫のがん細胞は、他のがんに比べて抗がん剤への感受性が高く、有効な薬が数多く開発されています。

放射線療法

  • 高いエネルギーのX線を病巣に照射して、がん細胞を殺す治療法になります。
  • 悪性リンパ腫は、他のがんに比べて放射線への反応が高いことから、中心的な治療法の1つとなっています。

無治療経過観察

  • 病気が進行するまで治療を行わず、様子を見る方法です。
  • 経過観察中は、定期検査を行って病状に変化がないかを確認します。
  • 濾胞性リンパ腫など、ゆっくり進行するタイプの場合には選択されることがあります。

その他の治療法

  • 造血幹細胞移植
  • 放射免疫療法など

通院治療で気をつけること

悪性リンパ腫の多くは通院での治療が可能ですが、自己管理がとても大切ですので以下のことに注意しましょう。

感染症にかからないようにする

  • 白血病が少ない時期には外出を控えましょう。
  • 手洗い、着替え、うがいなどをこころがけましょう。
  • 歯ブラシは柔らかめのものにしましょう。

食事の工夫とアドバイス

  • 水分摂取をこころがけましょう。
  • 白血球の少ない時期は生ものを避けましょう。
  • たくさん食べれない時は少しずつ食べましょう。

体力の維持

  • 規則正しい生活をこころがけましょう。
  • 無理のない程度にからだを動かしましょう。
  • 翌日に疲れを持ち越さないようにしましょう。

経過観察中の注意点

  • 病状の変化など気になることがあったら、早めにドクターに報告してください。
  • 決められた定期検診はきちんと受けましょう。

生活上の注意点とアドバイス

体調管理を中心に、特に感染症にかからないように注意してください。

感染を予防するするために

  • 手洗いは毎食事前後、トイレの後、外出後に石鹸を使って行いましょう。
  • うがいは外出後だけではなく、家にいる時、寝る前も行いましょう。
  • 入浴、またはシャワー浴をできるだけ毎日行い、清潔な衣類を身につけましょう。
  • 排便後は、できるだけシャワートイレを使いましょう。
  • 人混みを避け、マスクを着用しましょう。

体力を維持するために

  • 規則正しい生活を心がけましょう。
  • 貧血症状がある場合は、無理をせず、できるだけゆっくりからだを動かすようにしましょう。
  • 貧血になると手足が冷えやすくなるので 保温に努めましょう。

外来で治療を受けるときの注意点

  • 症状がなくてもくすりは 必ず服用してください。
  • 必ず定期的に診察を受けてください。 特に血液検査が重要です。
  • 体調管理に注意してください。もし体調がおかしいときは、すぐに医師に相談してください。

研究が進む悪性リンパ腫

悪性リンパ腫では新しいくすりや治療 の研究が進められています。 このような新しい治療法によって骨髄異形成症候群の治療戦略や分類、治療成績が変わる可能性があります。 新治療法については、その都度ブログなどでご報告させて頂きます。

脱毛について

化学療法開始から1〜3週間後に脱毛が起こります。治療が終わったら再び生え始めますので、一時的なものと考え、辛抱して乗り切りましょう。