慢性骨髄性白血病とは?
造血幹細胞が『がん』になってしまう病気(血液のがん)の一種です。
どのくらいの人数がかかる病気?
日本国内における発症頻度は、年間約7〜10人/100万人程度と言われております。
※国立がん研究センター調べ
他の人に感染しますか?
感染はしませんし、遺伝することもありません。
『慢性』白血病は白血病が慢性化した病気?
『急性』白血病のことを単に『白血病』ということがありますが、慢性白血病は急性白血病が進行・長期化したものではありません。
慢性白血病 | 初期症状がないか、軽いことが多い、ある時期から発熱、貧血、出血などの急性白血病のような症状が現れる。 |
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急性白血病 | 発熱や貧血、出血斑などの症状が初期から現れ、早急に入院治療が必要になる。 |
慢性骨髄性白血病の原因
白血病を含む『がん』は、遺伝子が傷つくことで発症すると考えられています。その原因のひとつが放射線の被曝ですが、ほとんどの患者さんにおいて、その原因は解明されていません。
慢性骨髄性白血病の治療法
移行期や急性転換期に進行してしますと、治療が大変難しくなってしまいます。このため、慢性期のうちに治療を始め、治療を継続しながら病期の進行を抑えることが何より大切です。
分子標的治療薬
フィラデルフィア染色体がつくり出す異常なタンパクを標的とし、その働きを抑えて白血病細胞を減らす治療約です。
【初回治療】イマチニブメシル酸塩
病気の原因であるタンパクを標的に世界で最初に開発された治療薬になります。
【初回治療】ニロチニブ塩酸塩水和物
病気の原因であるタンパクを、より選択的に、しかも強力に阻害し、遺伝子に変異が起きたことで、上記のイマチニブメシル酸塩が聞かなくなった、タンパクにも効果がある分子標的治療薬です。
【初回治療】ダサチニブ水和物
病気の偏印であるタンパク及び、複数のタンパクを標的に作用する分子標的治療薬です。
【二次治療以降】ボスチニブ水和物
初回治療での治療に抵抗性または不耐容を示す患者さんに対して使用する分子標的治療薬です。
【二次治療以降】ポナチニブ塩酸塩
上記の薬に抵抗性または不耐容を示す患者さんに対して使用する分子標的治療薬。
分子標的治療薬で起こる主な副作用
副作用は早めに気づき、適切な対策を行なうことが大切です。
浮腫・体液貯留
- からだや顔がむくむ
- 体重が増加する
- 胸水(呼吸困難、かわいた咳、胸の痛みなど)
消化器症状
- 吐き気・嘔吐
- 下痢など
消化器血液細胞の減少に伴う症状
- 貧血(めまい・立ちくらみ、倦怠感)
- 血小板減少症(出血しやすい・血が止まりにくい)
- 好中球減少症(発熱、寒気、せきやのどの痛み、排尿の痛み)など
皮膚症状
- 発疹(皮膚が赤くなる)
- 皮膚のかゆみなど
その他
- 頭痛
- 筋肉痛、筋肉のけいれんなど
インターフェロンα
- 白血球の数を減らして症状を和らげます。
- 一部の患者さんでは病期の進行を遅らせることが出来ます。
- 自己注射剤で、医師や看護師による指導のもと、自分や家族が自宅で注射することが出来ます。
インターフェロンαの副作用
- 発熱、からだがだるくなる(インフルエンザに似た症状)
- 吐き気、嘔吐
- 脱毛
化学療法剤(抗がん剤)
- 白血球数が正常値まで低下し、症状を和らげることができます。
- 化学療法剤だけでは治すことはできず、いずれ病気が進行していまいます。
化学療法剤(抗がん剤)の副作用
- 吐き気、嘔吐
- 脱毛
- 口内炎
- 食欲不振
造血幹細胞移植
強力な薬物療法や放射線治療を行って、がん化した細胞をほぼ完全に破壊した後、正常な造血幹細胞を移植して造血機能を回復させる治療法になります。有効性や移植条件などを十分に考慮した上で選択します。
造血幹細胞移植の種類
骨髄移植
ドナーの骨髄から採取した造血幹細胞を移植します。
未梢血幹細胞移植
ドナーの腕の血管を流れる造血幹細胞を採取して移植します。
さい帯血移植
赤ちゃんの出生時にへその緒や胎盤に含まれている造血幹細胞を採取して移植します。
治療しながら送る日常生活のポイント
慢性期の慢性骨髄性白血病では、日常生活の制限はほとんどありません。スポーツや旅行なども原則として可能。
忘れないで頂きたいこと
- くすりは忘れずに服用してください。
- 定期健診はかならず受けてください。
- くすりの副作用かもしれない症状や、気になる症状が現れた場合は、すぐに病院まで連絡して下さい。
- 経口の化学療法剤(抗がん剤)で治療する場合は、感染症やケガなどに注意してください。
生活上の注意点とアドバイス
体調管理を中心に、特に感染症にかからないように注意してください。
感染を予防するするために
- 手洗いは毎食事前後、トイレの後、外出後に石鹸を使って行いましょう。
- うがいは外出後だけではなく、家にいる時、寝る前も行いましょう。
- 入浴、またはシャワー浴をできるだけ毎日行い、清潔な衣類を身につけましょう。
- 排便後は、できるだけシャワートイレを使いましょう。
- 人混みを避け、マスクを着用しましょう。
体力を維持するために
- 規則正しい生活を心がけましょう。
- 貧血症状がある場合は、無理をせず、できるだけゆっくりからだを動かすようにしましょう。
- 貧血になると手足が冷えやすくなるので 保温に努めましょう。
外来で治療を受けるときの注意点
- 症状がなくてもくすりは 必ず服用してください。
- 必ず定期的に診察を受けてください。 特に血液検査が重要です。
- 体調管理に注意してください。もし体調がおかしいときは、すぐに医師に相談してください。