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不眠

なかなか寝付けない、夜中に何度も目が覚めてぐっすり眠れない、そんな不眠の症状は、過度なストレス、生活リズムの乱れ、生活環境の変化など複数の要因が重なって起こるとされています。

不眠の主な要因

心理的なストレス

次の日に重要な試験や仕事があるなど、不安や緊張があると眠れなくなることがあります。眠らなければ、と強く考えすぎて、床に就いたときに緊張してしまい、眠れなくなる人もいます。

体内リズムの乱れ

交代制勤務や時差などで生活のリズムが乱れると、眠れなくなることがあります。外の光を浴びることや、食事、運動などの日中の活動も体内リズムに関係するため、日中の活動が足りないと眠れなくなることがあります。

環境

音や光が気になったり、温度や湿度が快適でないとよく眠れないことがあります。

刺激物

コーヒーや紅茶などに含まれるカフェイン、たばこに含まれるニコチンには覚醒作用があるため、寝る前に取ると眠れなくなることがあります。アルコールを寝る前に飲むと、夜中に目覚めやすくなります。

加齢

加齢により、睡眠の機構が衰えてくるので、入眠時間が遅くなり、眠りが浅くなり、昼夜のメリハリがつきにくくなります。体内時計が前進して早寝早起きになる傾向があります。

からだや心の病気

かゆみや痛みを伴う病気(アレルギー疾患、糖尿病、関節リウマチなど)、苦しさを伴う病気(高血圧、心臓病など)、頻尿を伴う病気(腎臓病、前立腺肥大など)などがあると、不眠につながる場合があります。また、うつ病などの精神疾患も不眠と関係しています。

眠っている間も睡眠は変化します

人間の睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠の2種類にわけられます。健康な人の典型的な夜間睡眠パターンをみると、まず脳を休ませる深いノンレム睡眠から始まり、朝方に向けて徐々に浅いノンレム睡眠が増えていきます。その間に約90分周期でレム睡眠が繰り返しあらわれ、徐々に1回ごとのレム睡眠時間が増加した後に目覚めます。
深いノンレム睡眠を上手にとれると、質の高い眠りになります。

レム睡眠

レム睡眠のレム(REM)とは、Rapid Eye Movementの略で、眠っているときに眼球が素早く動いている状態です。眠りは浅く、からだは休ませながら脳は働いており、夢はこのときに見ます。

ノンレム睡眠

ノンレム睡眠は脳波活動が低下し、からだも脳も眠っている状態です。睡眠の深さにしたがってさらに4段階にわけられます。段階1は電車の中で駅を乗り越さずに眠れる程度、段階2は隣の人に首をもたせかけてしまう程度、段階3、4は熟睡した状態で多少の物音では目覚めません。深いノンレム睡眠のときに成長ホルモンが分泌されます。

睡眠のメカニズム

人間が、毎日規則正しい睡眠リズムを繰り返すのは、からだの状態を一定に保つため睡眠をとろうとする力(恒常性維持のしくみ)と、日中はしっかり覚醒させようとする力(体内時計のしくみ)という2つのメカニズムによって成り立っています。

恒常性維持のしくみ~睡眠欲求~

私たちは、起きている間に次第に疲労が蓄積されると睡眠欲求が起こります。睡眠欲求は目覚めている時間が長いほど強くなりますが、いったん眠りに入ると急速に減少します。からだの状態を一定に保つため、眠りの質と量は溜まった疲労に合わせて調節されます。その人が必要とするだけ睡眠をとると、睡眠欲求は消失して、自然に目が覚めるしくみになっています。徹夜のあとなどに深いノンレム睡眠が多くなるのは、このしくみのためです。

体内時計のしくみ~覚醒力~

もう一つ睡眠のメカニズムに関わる覚醒力は、睡眠と覚醒を調節する働きを持つ体内時計が大きく影響しています。体内時計から発信される覚醒力は決まった時刻に増大し、その後、就床時刻の1~2時間前頃からメラトニンというホルモンが分泌されると急速に低下して入眠を促します。これら以外にもさまざまな生体機能が協調しあいながら質の高い眠りのために作用し、朝方になると覚醒作用を持つ副腎皮質ホルモンの分泌が始まり、健やかな目覚めを迎えます。
なお、睡眠を促進する作用を持つメラトニンは、明るい光の下では分泌が停止することがわかっています。そのため、電気を消した暗い部屋で休むことは、メラトニンや副腎皮質ホルモン分泌を妨げないだけでなく、睡眠をサポートする生理機能の面からみても重要です。

眠れない日が続くとどうなる?

次の二つの症状があると不眠症と診断されます。

  • 1ヶ月以上夜間の不眠が続く
  • 日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する

不眠症は、大きく4つのタイプにわけられます。まず、寝つきの悪い「入眠障害」、眠りが浅く途中で何度も目が覚める「中途覚醒」、早朝に目が覚めてしまう「早朝覚醒」、そしてある程度眠ってもぐっすり眠れたという満足感(休養感)が得られない「熟眠障害」です。

日本睡眠学会による不眠症の定義

  • 入眠障害:夜間中々入眠出来ず寝つくのに普段より2時間以上かかる
  • 中間覚醒:一旦寝ついても夜中に目が醒め易く2回以上目が醒める
  • 早朝覚醒:朝普段よりも2時間以上早く目が醒めてしまう
  • 熟眠障害:朝起きたときにぐっすり眠った感じが得られない

この様な不眠の訴えがしばしば見られ(週2回以上)、かつ少なくとも1ヶ月間は持続すること。不眠のため自らが苦痛を感じるか、社会生活または職業的機能が妨げられること。なお精神的なストレスや身体的苦痛のため一時的に夜間良く眠れない状態は、生理学的反応としての不眠ではあるが不眠症とは言わない。

不眠の状態が続くと、十分な休息がとれずに倦怠感がとれないだけでなく、意欲低下、集中力低下、抑うつ、頭重、めまい、食欲不振などさまざまな症状が現れ、生活の質が低下することがわかっています。さらに最近は、睡眠障害が生活習慣病にかかるリスクを高め、症状を悪化させることや、その発症メカニズムが明らかになりつつあります。不眠の症状がある人は、十分な睡眠をとっている人と比較して、糖尿病になるリスクが1.5~2倍に上昇するほか、高血圧、肥満などのリスクも高くなることがわかっています。

不眠になったらどうすれば?

睡眠は時間よりも質を意識することが大切です。不眠は日中の眠気など、生活に支障をきたす場合があります。不規則な生活などによる一時的な不眠であれば、おだやかな眠気を誘うOTC医薬品による対策もおすすめです。不眠が長期間続いているなどの状態のときは受診しましょう。なお1週間以内を目安とする一時的な不眠の大半はセルフケアが可能です。

医療機関での受診をおすすめする場合

  • 長期的に不眠の状態が続いている
  • 慢性的な不安やうつ状態が続いている(こころの病による不眠の可能性がある)
  • 痛み、痒み、咳、頻尿など身体的不調による不眠が続いている
  • 2~3回、市販の睡眠改善薬を服用しても、症状が改善されない
  • 夜十分な睡眠をとっていても、昼間に突然眠気に襲われ、居眠りしてしまうことがある
(ナルコレプシーや睡眠時無呼吸症候群などの病気のおそれがある)

また上記の症状がない方でも、次に該当することがある場合にはご注意ください。

  • 以前、不眠で医師から処方された薬を服用したことがある
  • ほかの病気で通院中あるいは服用中の薬がある

セルフケアできる場合

他の病気など特別な原因がなく、環境の変化、不規則な生活などにより、一時的に(1週間以内)寝付きが悪いとき、または眠りが浅いとき。

不眠を予防するには?

不眠を予防するには、不眠の要因を取り除くことが大切です。眠らなければと思ってあせったり、寝る前にお酒を飲んだりするのはかえって逆効果。上手に眠れるコツを知って、快眠生活を送りましょう。

眠れなくて困っている日本人は多い

厚生労働省の調査によると、ここ1ヶ月間睡眠で休養が「まったくとれていない」又は「あまりとれていない」と回答した男性が18.6%、女性が18.3%にのぼり、日本人の約5人に1人が睡眠で十分に休養がとれていないことがわかりました。とくに20代から40代の男女は、睡眠で「十分に休養がとれていない」と感じている割合が高くなっています。

生活習慣を整えて快眠生活につなげる

快適な睡眠のためには、毎日の生活リズムを整えることが大切です。そこで、日頃から次のような生活習慣を心がけて、生活リズムを整えましょう。

睡眠時間の長さにこだわらない

睡眠時間は個人差がある。日中の眠気で困らない睡眠が取れていれば十分。年齢とともに睡眠時間は短くなる傾向がある。

就寝時刻にこだわらない、眠くなってから眠る

眠らなければ、という意気込みで頭がさえてしまうことがある。眠りが浅いときは積極的に遅寝・早起きをした方が熟眠感を得られやすい。

朝の光を浴びる

人の体内時計は1日25時間周期。光でリセットされるので、24時間周期にリズムを整えるには、目覚めたらすぐに日光を浴びて体内時計をスイッチオンすることが大切。

就寝時間に関係なく、起床時間を一定に保つ

起きる時間を一定にすると生活のリズムができる。

栄養バランスのとれた食事を、1日3回同じ時間にとるようにする

食事の時間は体内リズムに影響する。

適度な運動をする

運動習慣は熟眠を促す。

昼寝をするときは、20~30分以内にとどめる

夜に十分な睡眠が取れないと、昼間眠気を感じることがあるが、昼寝をすると再び夜眠れなくなるので、長時間の昼寝は避ける。

夕食後は、コーヒーや緑茶などカフェインの多い飲物は控える

カフェインは、興奮作用があるため寝る前に飲むと寝付きが悪くなる。カフェインは、就寝3、4時間前からは避けたほうが望ましい。

寝る前のアルコールは控える

アルコールは、ノンレム睡眠を妨げて眠りが浅くなる作用があるため、翌朝目覚めたときに十分に睡眠をとった感じが得られない。またアルコールは利尿作用があるため、就寝中に何度も起きてしまう一因にもなる。

たばこを控える

たばこに含まれるニコチンは覚醒作用があり安眠を妨げる。

寝室は、適度に暗くし、余計な音などが入らないようにする

遮光カーテンやアイマスクを使用して光を遮ったり、耳栓で音を遮断したりする方法もある。
(厚生労働省 精神・神経疾患研究委託費「睡眠障害の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究班」平成13年度研究報告書より)

自分に合ったストレス解消法をみつける

過度なストレスは、不眠を悪化させるだけでなく、こころの病をはじめ他の病気を誘発することもあります。ストレスの原因を完全に取り除くには、その原因から離れるのが理想的ですが、場合によっては、ストレスの原因と向き合わざるを得ないケースもあります。そこで、自分の好みや性格に合ったストレス解消法を見つけて気分転換するようにするとよいでしょう。

好きな趣味を持つ

音楽、読書、スポーツ、旅行など自分にあった趣味を見つけ、上手に気分転換をはかり、ストレスをためないようにしましょう。

適度な運動をする

運動をして、適度な肉体的疲労は、心地よい眠りを生み出します。そこで、体に負担がかからない程度に、ウォーキング、ジョギングなどの有酸素運動を行うとよいでしょう。ただし、激しい運動は、交感神経が刺激され、逆に寝付きが悪くなるため気をつけましょう。

寝る前にリラックスタイムを作る

睡眠前は、リラックスする時間を作って心身の緊張をほぐすようにすると、副交感神経の働きが活発になり、心地良い眠りにつながります。そこで、ぬるめのお湯を張った湯船にゆっくり浸かったり、音楽や読書などをするとよいでしょう。
ただしビデオ鑑賞やインターネットなどは、画面からの光が刺激となって、寝付きが悪くなることがあるので注意が必要です。

出典:第一三共HP