Keyaki Blog

けやきブログ

サルコペニアと糖尿病の関係と予防について

近年、「サルコペニア」という言葉を耳にする機会が増えてきました。これは、筋肉量や筋力が低下し、身体機能が衰える状態を指します。サルコペニアは高齢者に多くみられる状態ですが、糖尿病との関連が注目されています。ここでは、サルコペニアと糖尿病の関係や、予防のためのポイントについて分かりやすく解説します。

サルコペニアと糖尿病の関係

糖尿病は、高血糖が長期間続くことで全身に悪影響を及ぼす病気です。その一方で、サルコペニアは筋肉量の減少と筋力の低下を特徴とします。では、なぜこの2つが関連するのでしょうか?

インスリン抵抗性の影響

糖尿病では、インスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」が問題となります。筋肉は血糖をエネルギーとして取り込む主要な組織ですが、インスリン抵抗性があると血糖の取り込みが低下します。その結果、筋肉がエネルギー不足となり、筋力低下や筋肉量の減少につながります。

慢性炎症

糖尿病では、体内で慢性的な炎症が起こることが多いです。この炎症が筋肉の分解を促進し、サルコペニアを進行させる可能性があります。
運動不足の影響 糖尿病のある方は、運動不足になりがちです。運動不足は筋肉量の維持を妨げ、サルコペニアのリスクを高めます。

サルコペニアを防ぐためのポイント

サルコペニアは糖尿病を悪化させるだけでなく、転倒や骨折、要介護のリスクを高めるため、早期の対策が重要です。以下のポイントを意識してみましょう。

バランスの良い食事

筋肉を作るためには、たんぱく質をしっかり摂ることが大切です。魚、肉、卵、大豆製品などを毎食意識的に取り入れましょう。また、糖尿病の方は血糖コントロールが必要なため、低GI食品や食物繊維が豊富な野菜を組み合わせることもおすすめです。

適度な運動

筋力トレーニングやウォーキングなど、日常生活に無理なく取り入れられる運動を継続しましょう。特に筋力トレーニングは、筋肉量を維持・向上させるのに効果的です。週に2~3回、軽い負荷から始めてみてください。

適切な血糖コントロールと薬剤。

血糖値を安定させることが、筋肉の健康を守るために重要です。昨今体重減少効果を併せ持った糖尿病治療薬が複数使用可能となりましたが、これまで述べてきた点から、ただただ体重を落とすだけでは筋肉も衰えてしまいますので、必ずしもすべての糖尿病患者様に適しているとは言えないと考えられます。
我々は患者様一人ひとりに合わせて、ただ血糖コントロールをするだけではなく、なるべくメリットの多いお薬をお勧めするようにしています。

最後に

糖尿病とサルコペニアは、互いに悪影響を及ぼし合う関係にありますが、適切な生活習慣を取り入れることで、そのリスクを減らすことが可能です。健康的な生活を送りながら、糖尿病やサルコペニアのリスクをコントロールしていきましょう。我々は最大限のアドバイスや、治療選択肢を提供することに努めてまいります。

ドクターズブログ

こちらの記事も読まれています