Insulin

インスリン療法について

糖尿のタイプによりインスリンの使い方も変わる

糖尿病はすい臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌される『インスリンの作用不足』が原因で起こります。その発症するしくみの違いから、2つのタイプに分けられます。1つは食べすぎや運動不足などが引き金となり、肝臓や筋肉でのインスリンの働きが低下し、さらにインスリン分泌が不十分となっておこる2型糖尿病、もう一つは生活習慣とは無関係に、膵臓にランゲルハンス島のβ細胞が破壊されてインスリンの分泌が完全に消失して発症する1型糖尿病です。1型糖尿病ではインスリン療法が生存に必須となりますが、2型糖尿病では生活習慣(食事、運動)の改善を中心に、病状に応じて飲み薬や注射薬が併用されます。

インスリンの注射器はどう使う?

現在のインスリン療法では、ペン型の注入器を用いるのが主流で、注射針は細く短く、痛みもすくなくなっています。注射する部位は、吸収の良い順に①腹部(おなか)、②上腕部の外側、③臀部(おしり)④大腿部(ふともも)の外側などが適しています。注射部位によって薬の球種が変わることもありますので、ドクターの指示に従い、腹部なら腹部、上腕部なら上腕部と毎回同じ部位に注射するようにしましょう。ただし、いつも同じ場所に注射すると、皮膚がへこんだり、逆にふくれることがありますので、前回注射した場所により2〜3cmくらいずらし注射するようにしましょう。

インスリン療法のよくある質問

インスリン療法を始めると一生やめられない?

インスリン療法を始めたために、「自分の膵臓からインスリンがでなくなってしまう」ということはありません。インスリン注射を的確に行い、高血糖を是正し、膵臓に休息を与えることで、インスリンの分泌機能が回復し、再び飲み薬での血糖コントロールが可能になる場合もあります。

風邪をひいて体調がすぐれない時にインスリンの注射をしてもいいの?

風邪をひくなどして体調がすぐれない時、インスリンの働きが低下し、血糖値は上がりやすくなっています。このため、食事が全くとれない場合以外では、インスリンの注射が必要です。自己判断でインスリンの注射を中止してはいけません。ただし、インスリンの増量や減量が必要な場合もあるので、あらかじめ体調がすぐれない時の対応を相談させて頂きます。

インスリンの注射は痛い?

インスリン注射薬で用いる針は、採血などに使う針よりはるかに細く、ほとんど痛みを感じないものが使われています。

インスリン療法を始めたので、食事療法や運動療法をやめてもいいですか?

食事療法や運動療法は継続して行う必要があります。食事療法をおろそかにすると肥満が助長され、その結果生じる糖毒性のため、インスリンの注射量がだんだん増えていく悪循環が起こります。インスリン療法は食事療法を守って初めて効果があらわれます。また運動療法も今までと同じように行いましょう。ただし、インスリン療法を始めて血糖コントロールがよくなってくると低血糖が起きる可能性がありますので、低血糖には十分に注意する必要があります。 あらかじめ主治医に運動療法について相談しておくとよいでしょう。

病気になった時にインスリンの注射をしてもいいの?

病気の時は、軽いかぜでも血糖値が上がりやすくなっています。そのため2型糖尿病患者さんは、食事が全くとれない場合以外では、インスリンの注射が必要です。自己判断でインスリンの注射を中止してはいけません。場合によってはインスリンの増量や減量が必要ですので、あらかじめ主治医と病気の時の対応について相談しておくとよいでしょう。1型糖尿病患者さんは、食事がとれなくても、インスリンの注射を中止してはいけません。