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肥満症の治療つづき

4月に続いて、肥満症のお話です。

まずおさらいです。”肥満”と”肥満症”の用語、意味の違いです。
肥満:脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した結果 BMI 25kg/m2 以上を示す状態
肥満症:”肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測され、医学的に減量を必要とする疾患”(肥満症診療ガイドライン 2022)。

具体的には、肥満症は、肥満(BMI 25kg/m2以上)に加え、減量によりその予防や病態改善が期待できる「肥満症の診断基準に必須の 11 の健康障害」(下表に記載)のいずれかを伴うものと定義されます。

1)耐糖能障害(2 型糖尿病・耐糖能異常など)、
2)脂質異常症、
3)高血圧、
4)高尿酸
血症・痛風、
5)冠動脈疾患、
6)脳梗塞・一過性脳虚血発作、
7)非アルコール性脂肪性肝疾患、
8)月経異常・女性不妊、
9)閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群、
10)運動器疾患(変形性関節症:膝関節・股関節・手指関節、変形性脊椎症)、
11)肥満関連腎臓病

さて、今年に入って肥満、肥満症治療の薬剤が発売、使用できるようになり話題になっています。
前回は薬局で患者様が購入可能なのオルリスタット”アライ”のお話をしましたが、今回は医師の処方による薬剤のお話です。ウゴービ注 (成分:セマグルチド)が保険診療で使用可能になりました。

ウゴービの成分のセマグルチドは、すでに糖尿病の治療で使用可能となっており、オゼンピック注、またはリベルサス内服として使用中の方もあるかと思います。
ウゴービの特徴は投与量が多いこと(オゼンピック 1.0mg/週1回 、ウゴービ 最大2.4mg/週1回)で、その分体重減少効果が多いとされています。

ただし、あくまでも肥満症の治療の基本は食事・運動療法です。
処方前に6ヶ月以上管理栄養士による栄養指導を受けていることが必要です。
そのうえで下記のどちらかを満たす必要があります。
・BMIが27 kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害(上記の1〜11)を有する
・BMIが35 kg/m2以上

また2024年6月時点で最大投与期間は68週までで、一旦中止をする必要があり、糖尿病を合併する方においては終了直後に血糖値をどう管理するか、という問題が残ります。

当初かなり処方できる病院が限られており、この6月から少し条件が緩和されましたが、引き続き事実上総合病院への受診が必要です。

当クリニックでは、引き続き保ウゴービが必要と思われる方は適切な医療機関への紹介を行いつつ、管理栄養士、糖尿病療養指導士が多数在籍する強みを活かして肥満、肥満症でお悩みの方への適切なサポート、治療選択肢を提示していければと考えています。

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