サルコペニアとは?糖尿病と関わりの深い「筋肉の減少」に注意
みなさんは「サルコペニア」という言葉をご存じでしょうか。
サルコペニアとは、加齢とともに筋肉の量や力が減り、歩く速さが遅くなるなど、体の機能が低下してしまう状態を指します。ギリシャ語で「筋肉(sarx)」「減少(penia)」を意味する言葉から名付けられました。
特に糖尿病のある方は、サルコペニアを発症しやすいことがわかっています。血糖コントロールが不安定だと筋肉の分解が進みやすく、また神経障害や合併症による運動不足が重なることで、筋力が落ちやすいのです。
サルコペニアになると何が起こる?
筋肉は「動くため」だけでなく、「熱を生み出す」「血糖を消費する」という重要な役割を持っています。筋肉が減ると以下のような悪循環に陥りやすくなります。
- 転倒・骨折のリスクが上がる
- 活動量が減り、さらに筋肉が減る
- 血糖値が上がりやすくなる
- フレイル(虚弱)や寝たきりにつながる
糖尿病の方では特に、「筋肉が減ることで血糖コントロールが悪化する → 動かなくなる → さらに筋肉が減る」という悪循環に注意が必要です。
サルコペニアを防ぐためのポイント
サルコペニア予防には「運動」と「栄養」が両輪です。
1.運動習慣を持つ
○速歩きや自転車などの有酸素運動
○スクワットやかかと上げなどの筋力トレーニング
無理のない範囲で続けることが大切です。
2.たんぱく質をしっかり摂る
○肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など
○1日あたり体重1kgにつき1g程度が目安(例:体重60kgなら約60g)
3.生活リズムを整える
睡眠不足やストレスは筋肉の維持を妨げます。バランスの良い生活が重要です。
サルコペニアは「年をとったら仕方がない」と思われがちですが、実は日々の工夫で予防・改善が可能です。糖尿病をお持ちの方にとっては、筋肉を守ることが血糖コントロールや健康寿命の延伸にも直結します。
「最近つまずきやすい」「握力が弱くなった」と感じたら、サルコペニアのサインかもしれません。気になる方は、ぜひ一度医師にご相談ください。当院でも生活習慣の見直しや運動・栄養指導を通して、皆さまの健康づくりをサポートしています。